老人ホームの賢い選び方は?失敗談からわかる注意点を紹介

人生90年または100年時代とも言われるようになった現在の長寿大国日本ですが、ご両親と同居されているご家族は少ないかもしれません。
離れて暮らす田舎のご両親のことを心配されている方も、多いのではないでしょうか。
特に、親御さんが一人暮らしで、要介護認定とされたり、認知症と診断された場合など、そう遠くないうちに一人暮らしでの生活が困難となり、現実的に施設への入居などを考えなくてはならなくなりますよね。

この記事では、おすすめの老人ホームなどの検索サイトや、民間の老人ホームの探し方のポイントなどの情報を、私の体験談をもとに解説していきます。
最後までお読みいただき、同じ悩みを持っていらっしゃる方に、少しでも不安を軽減していただければと思います。

 

どうする?要介護や認知症の親の一人暮らし

現在、男女の平均寿命は世界一といわれる日本。

ですが日常的に医療や介護に依存せず、自立して生活できる健康寿命は、厚生労働省によると、男性で70.42歳、女性で73.62歳と言われ、

それぞれの平均寿命との差は男性で9.13年、女性で12.68年あるそうです。

ここで問題になっているのは、何が重要なのか。

本当に重要なのは、健康寿命が長くなること。

平均寿命がのびても、介護が必要な時期が長くなるだけです。

 

先に述べたように、一人暮らしの親御さんをお持ちの方は不安が増すばかりですよね。

私の場合も父が亡くなった後、母が一人暮らしになったのですが、父の死去と前後して認知症を発症しました。

当時私は実家を離れて東京で一人暮らしでしたので、まさしくこの問題に直面してしまったのです。

今は、母は有料老人ホームでそれなりに落ち着いて生活してくれていますが、今の老人ホームにおちつくまでに、少しドタバタして、母にも嫌な思いをさせてしまい反省しています。

ですので、同じ悩みや不安を抱えている方に、私が学んだ知識や経験を少しでも参考にしていただければうれしく思います。

 

施設選び、こんなはずじゃなかった?

父が78歳で亡くなり、母が認知症を発症してから2年と数ヶ月の間は、私が1ヶ月に1度週末や有給を使って3日程度帰省、叔母(母の妹)が1ヶ月に1週間から10日程度、実家に泊まってくれて母の様子をみる、1週間に2回はデイサービスを利用するという形でなんとか一人暮らしを続けていました。

ですが、実家は一戸建てでしたので、家の戸締りや火の始末など、だんだん一人暮らしがむずかしくなり、「寒さ対応や火の始末、かぜやインフルエンザの発症などが心配で、次の冬はこの状態での一人暮らしは無理だろう」と判断し、施設探しを始めました。

グループホーム探しスタート

私の母の場合は認知症でしたので、当初(認知症の方を対象とする施設の)グループホームで、なるべく実家から遠くないところを条件に探し始めました。
その時使用したサービスは、市のホームページの介護サービス事業所一覧などを使用しました。(税金を払っているのですから、公共のサービスは有効に利用する方がよいと思います。)

候補となるグループホームは4軒あり、すぐに連絡を取り見学をしました。
そのうち1軒は、職員さんの対応も良く、施設長の方の人柄や考え方もとても好ましく思えたのですが、やはり人気がある施設は空きがなく、空きが出るのはいつになるかわからない、ということでした。

とりあえず、空きを待つということで仮の入居予約をし、それまでは、相変わらず、私と叔母の2人で自転車操業的に実家に戻り、母の様子を見ていましたが、そうこうするうちに、母の認知症も少しずつ進み、冬だけでなく梅雨から夏にかけても、台風や豪雨の対応、熱中症などが心配になり、万一のときのことを考えると一人暮らしは危険なので、真夏になる前に施設に入った方がよい、と思うようになりました。

あるグループホームに入所することになったものの・・・・

4軒見学したグループホームの中で、空きのあった施設が1軒だけあり、そこに連絡したところ、「まだ空きがある」とのこと。
この施設の印象は悪いわけではなかったのですが、それほど親身な対応をしてくれているという感じではありませんでした。
ですが、当初は「何かあってからでは遅いので、一人暮らしのリスクをなくすだけでも、施設に入った方が安全」と思い、私だけでなく、叔母や妹とも話し合ってそこに入所することにしました。

ところが、入所の当日に「入所してから1ヶ月は、里心がつくといけないので面会は遠慮してください。」と言われたり、母の部屋は1階なのですが、2階の見学もさせてほしいと言うと、「2階は見学できません。」と言われたりなど、すぐに不信感が募りました。

見学した時にはこのような対応ではなかったのですが、入所が決まったら態度が少し変わったように感じ、母の荷物などを運び入れ、いざ母を残して施設から帰る時には、既に、「ここには母をおいておけない。家から多少離れても、もっと良い施設を探して早くここを出よう!」という気持ちになっていました。
また、1ヶ月たってから叔母が面会に行った際に、施設長の方から、「あまり頻繁に面会に来るのは遠慮して下さい。」と言われたことも後押しとなりました。

すぐに、別の施設探しスタート

その日の夕方の飛行機で帰京したのですが、飛行機の中ですぐに別の施設を探そうと思い、スマホで、実家のある市だけでなく、近郊の市も対象としてグループホームや有料老人ホームなどを探すサービスを検索しました。

そのときに調べた検索サービスは、以下の2件です。

みんなの介護
https://www.minnanokaigo.com/

LIFULL介護
https://kaigo.homes.co.jp/

最終的に施設を決めたときに使ったサービスは、「みんなの介護」でした。

掲載物件数が多かったこと、口コミのポイントを参考にできたこと、細かく条件を設定して検索できたことなど、このサイトがいちばん使いやすかったことが、一番の理由です。
また、各施設の情報として、入居費用、要介護の状況などの入居条件、介護、医療体制、生活サービス、生活サービスなど細かく表記されていて、見学の際、何を見学し、質問すればよいかのヒントにもなりました。(グループホームの見学の際は、市のサービスを利用したのですが、ここまでの情報は掲載されていなかったため、自分なりに見学のポイントをリストアップし、それについての印象をメモしていました。)

これらの情報をもとに、私の場合の優先順位などを考慮して見学のポイントとし、それを整理した表を作成し、複数の施設を見学、個人的な印象だけでなく、各項目に点数をつけて定量的にも比較できるようにしました。

施設見学時のポイント

施設の見学は、複数の施設を比較することになると思いますので、上記にも説明したように、

見学するポイントを必ずリストアップして、そのポイントを点数化する

ことをおすすめします。

こうすれば、最初に見学した施設と後で見学した施設で、見るポイントが変わってしまった、忘れてしまったなどが避けられ、適切な判断ができると思います。

また、
・聞きにくいこともはっきり聞いてみる
・その時の職員さんの反応などもチェックする
なども良いと思います。

例えば、職員の方の平均勤続年数なども、「みんなの介護」には記載があるのですが、私はそれが本当かどうか確かめるために、実際に質問しました。
職員さんの定着率が悪いということは、職場として働きづらいということですので、それは即入居者への対応にはね返ってくるからです。

答えづらい質問にごまかすような回答をするところは信用できないですし、逆に、不利になる内容でもきちんと現状と今後の改善点を説明してくれれば、今後が期待できる可能性があります。

特に、見学時には、施設長などの管理職だけではなく、実際にケアをしてくださる職員さんの様子をしっかり見ることがとても大切だと思いますよ。

これらのポイントを比較、検討した結果、以下の3箇所の施設が候補に残りました。

・サービス付き高齢者住宅の「ディアレスト福山アネックス」(福山市)
http://www.dearrest.net/fukuyamaannex/index.html

 

また、同じ敷地内にある
・有料老人ホームの「ディアレスト福山」(福山市)
も、空きが出ればご連絡いただけるとのことでした。

http://www.dearrest.net/fukuyama/index.html

 

もう1軒は、
・ドエル東志和(東広島市)
http://www.doell.jp/

 

サ高住の「ディアレスト福山アネックス」は当初空きがあり、認知症の受け入れもしてくださるとのことだったのですが、もし直近で有料老人ホームの「ディアレスト福山」に空きが出れば、そちらに入所したい旨を伝えました。(私の当初の優先順位として、なるべく早く入所したかったので、「現在、空きがある施設を対象にしており、そのため、「ディアレスト福山」は見学の対象からはずしていました。)
タイミング良く、有料老人ホームの「ディアレスト福山」から、空きが出たとの連絡をいただき、最終的にこちらに入所し、今は落ち着いて生活できています。

余談ですが、「みんなの介護」では、見学した施設に実際に入所した際お祝い金が出ることになっていました。
私の場合、「みんなの介護」を通して見学したのは、サ高住の「ディアレスト福山アネックス」だったのですが、上記に記載したように、実際に入所したのは有料老人ホームの「ディアレスト福山」です。
同じ会社が運営、同じ敷地内にあるので、念のため、お祝い金のことを「みんなの介護」に確認したら、「ディアレスト福山」は「みんなの介護」を通して見学した施設ではないので、お祝い金は出せない、ということでした。
おそらく無理だろうと思っていたので、それほど気になりませんでしたが、もし気になる施設がある場合は、全て「みんなの介護」に連絡しておくことをおすすめします。

焦って決めると失敗しがち

上で説明したように、私の場合は、最初のグループホームに入所した際、時間的余裕がなく背に腹は変えられないというような心境で、唯一空きはあるが、印象のそれほど良くなかった施設に入所を決めてしまったことが反省点です。

当初は5月から6月にかけての時期で、真夏の熱中症もさることながら、ニュースなどで台風や豪雨などでの被害が目立ち、非難勧告や警報などが出ても母一人では非難できず、万が一の場合命にかかわるので、とても不安に思ったことを覚えています。
これらのことを考えると、何かある前に手を打たなければ、と焦ってしまったのです。

ですが一方で、正直なところ、あの時点では、他のグループホームはいつ空きが出るかわからないし、もし何かあってからでは取り返しがつかない、という切迫した思いになったのも仕方なかったとも感じています。

ただ、1歩踏み込んで、施設の対象を実家の近くに限定するのではなく、別の市も対象にしてもっと広い範囲で探しなおすなどの気持ちの余裕があれば良かったと反省しています。

母には申し訳ないことをしたと思っていますが、最初の施設で失敗したことで、2回目の施設探しは絶対に失敗できないという気持ちが非常に強くなり、優先順位をはっきり決め、自分でもかなり慎重に、かつスピード感ももちながら進めることができたと思っています。

施設選びは慎重に、かつタイミングも逃さずに

施設選びは自分の都合だけでなんとかなるものではなく、双方のタイミングや経済的な状況など色々な要素があり、口で言うほどうまくいかないのが難しいところですよね。
確かにその通りなのですが、その中でもまずは自分ができることは、慎重にしっかり準備されることが大切です。

施設選びの準備のポイント

施設を選ぶに際して、心構えもふまえてポイントを整理してみました。

1, 入所する施設には何を望むか、優先順位をきちんとつける
→これがあいまいだと、すべてがくずれてしまうので、ご家族としっかり相談されることが大切です。
2, 見学する施設は、検索サービスなどで複数リストアップ
→1の条件にあった施設を、検索サービスなどであたりをつけ、リストアップします。
3, 見学する際には、見学のポイント(=優先順位の内容)を客観的にチェックする
→(先に説明したように)見学のポイントの結果を点数化すると、複数の施設の結果を比較しやすいです。
4, 3の結果だけでなく、自分の印象、感じ方なども大切にする
→3の客観的な情報+ご自身の主観的な感じ方も大事です。

何と言っても、施設の良し悪しは、人(入居者)と人(職員さん)の関係が良いことに影響されますので。

これらの準備を慎重にしっかり行い、最終的に良さそうな施設のめどをつけましょう。
その最終候補の施設に空きがあるのであれば、すぐに入所することができますし、もし、空きがなくても、ここまでの準備や判断がしっかりできていれば、その施設に空きが出たなどのタイミングを逃さずに入所することが可能です。

ですが準備不足の状態や適切な判断ができていない状態で、見学した施設のひとつから「空きが出た」と連絡が入っても、そこが本当に適切な施設かどうか判断ができていないうちに、焦って入所してしまうことにもなりかねません。(私の失敗もこの類です。)

もちろん、良い施設は人気があるので、タイミングよく空きが出るとは限りませんが、少ないチャンス(空きが出たタイミング)を逃さないよう、それまでにすべき準備はしっかりしておくことを強くおすすめします。

ご自身と親御さんのために何がベターかを考えよう

読者の中には、「親を施設に入れるのは忍びない、子供として面倒を看るのは当然ではないか」という思いに悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれません。
その気持ちは私もよくわかります。

ですが、重い要介護や認知症の方をずっと看続けていくのは大変なことです。
ご自身の生活、お仕事などにも影響が出ますし、何よりもご自身が精神的、肉体的にまいってしまう可能性もあります。そうなってしまうと、親子とも共倒れになり、取り返しがつかないことにもなりかねません。

ですので、施設に入所することも解決策のひとつとして考え、その代わり、できるだけ親御さんがストレスなく過ごせるような施設を選ぶことに力を注いであげてください。
また、入所されたらなるべく頻繁に面会に行くなど、ご自身ができる範囲で親御さんのケアを続けてください。

親と子の双方にとってベストな解決ができれば、それに越したことはありません。
ですが、現実はなかなか「ベスト」とはいかないものですよね。
ベスト=完璧であるためにご自分を追い込むのではなく、ご自身がしっかり考えてその時にできることを一生懸命してあげれば、親御さんにもきっと伝わるのではないでしょうか。